TOP > 静フィルの歩み 飛躍期 1979-1986

静フィルの歩み

発展期

1987年、ゴールド・ブレンドの200回記念となるスペシャルコンサートは、サントリーホールで開催され、静フィルは初めて東京で演奏する 機会を与えられた。西日本と東日本の二つの混成オーケストラによるコンサートであったが、静フィルは東日本オケの核となって、小林健一郎指揮による 「幻想交響曲」を好演した。(このとき、石丸先生は西日本オケを指揮された。)

 

翌1988年、静フィルにとって初めてのバレエ公演の機会が巡ってきた。既に静岡で30年の歴史と高いレベルを誇っていた前田バレエ団との初の共演は、 チャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」であった。
 前田バレエ団主宰の前田香絵氏の夫君で指揮者の福田一雄氏は、日本のバレエ界の第一人者で、バレエの魅力を余すことなく、静フィルから見事に引き 出して下さった。
 これをきっかけに、以後も前田バレエ団・福田一雄指揮という組み合わせにより、チャイコフスキーの三大バレエ(くるみ割り人形、白鳥の湖、眠れる森の 美女)を始めとして、アドルフ・アダンの「ジゼル」、プロコフィエフの「シンデレラ」、また、バレエの名曲を集めた「バレエ・フェスティバル」等の 公演を開催してきた。これにより、バレエ音楽も静フィルにとって大きな財産の一つとなってきている。
 また2008年には、レオン・ミンクスのドン・キホーテ」に取り組み、大成功を収めた。

 

中国公演から3年後の1989年、今度はアメリカ公演の機会が巡ってきた
 この年、静岡市は市制100周年を迎え、この記念事業の一環として、姉妹都市提携25周年を迎えるアメリカのオマハ市に親善使節として訪問し、更に ボストン市にも訪問し親善公演を行うこととなった。
 この時も、静岡市のほかに「静フィルのアメリカ公演を成功させる会(三浦孝一会長)が組織され、物心両面の応援を頂いた。1989年8月14日、オマハ市 において静フィル親善使節団(川合祐一団長)を迎える盛大な歓迎式典が行われ、その翌日、公演会場となったオヒュームシアターの2,500席の大ホールは 紳士淑女で埋まった。
 黒岩秀臣指揮によるチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」、そして渡邉康雄のピアノ、R.レッサーのチェロ、塩田益子のヴァイオリンによる ベートーヴェンの三重協奏曲は、思い出に残る名演となった。
 ボストンでは、ハーバード大学のサンダースシアターを会場とした親善公演も大好評を得ることができ、アメリカ公演は大成功に終わった。この時 静フィルは、オマハ・シンフォニーオーケストラと友好関係を結び、指揮者のブルース・ハンゲン氏を2年後の第14回定期演奏会に指揮者として招き、 「静岡・オマハ フレンドシップコンサート」と銘打って開催した。

1992年、静岡市がフランスのカンヌ市と姉妹都市提携を結んだことから、記念事業として静フィル・フランス公演が企画され、この年の8月に挙行された。 静フィル顧問のピエール・ロバート先生を団長とした静フィル親善使節団は、カンヌ市と、もう一つの訪問地として音楽の都ウィーンを選んだ。 理由としては、クラシック音楽の本場ヨーロッパにあって、ウィーンはまたその中心という、一種の憧れに似た意識が働いたからにほかならない。
 指揮者には、再び石丸寛先生、客演ヴァイオリニストに徳永二男氏という堂々の布陣で臨み、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲とベルリオーズの 幻想交響曲を好演し、カンヌ及びウィーンの聴衆の喝さいを浴びた。

2001年には、日英両国政府が公認する大型文化行事「JPAN2001」がイギリス全土で展開された。静フィルは、静岡県の親善使節としてこれに参加、県と 友好関係を進めているウェストミッドランド地域の中心都市バーミンガム市を訪問、次いで首都ロンドンを訪問して親善公演を行い、何れも大成功を収めた。

このように、静フィルは地域及び海外の多くの人たちの支援により、中国を始め、欧米諸国を親善使節として訪問し、親善公演を成功させることができた。 これが日本及び静岡と、訪問した各国の友好都市・地域との交流促進に少しでも貢献できたなら幸いであり、皆様への御恩返しと言えるのではないだろうか。
 また、静フィルとして、多くのお世話居なった方々への、感謝の気持ちを忘れないようにすると共に、こうした海外での演奏経験をその後の音楽表現に どのように反映できるかが問われているところである。多くの名曲が生まれた土地や環境・歴史などを、直に見たり触れたりして感じたことが、これからの 音楽作りに豊かさや奥深さとなって表れてくることが、本当の恩返しになると言えるだろう。

 

静フィルが初めてオペラに挑戦したのは、発足から15年目の1992年12月で、ヴェルディのオペラ「椿姫」であった。 オペラ公演はオーケストラにとって 魅力ではあるが、莫大な費用が掛かることから、アマチュアオーケストラが単独で開催することは至難の業と言ってよい。指揮者は勿論のこと、声楽家と 合唱団、演出家や舞台監督などが必要であるばかりか、舞台製作費、衣装代、照明等々に多額の費用がかかり、入場料でそれを賄うとしたら大変高額な入場料 となってしまう。それでは「安い料金で質の高い音楽を提供する」というアマオケの精神に反することになり、もし多額の赤字を出してしまったら運営は立ち 行かなくなってしまう。この経済的な課題を解決してくれたのがトヨタコミュニティコンサート(TCC)であった。
 TCCとは、全国のトヨタ販売会社とトヨタ自動車が、日本アマチュアオーケストラ連盟(JAO)に対し、「音楽を通じて地域音楽文化の振興に貢献する こと」を目指した提携事業で、1981年に開始したものである。
 静フィルは、このJAOに加盟したことにより、ようやくオペラに挑戦する機会が巡ってきた訳である。しかも、最初がヴェルディの代表作「椿姫」で、 キャストは塩田美奈子、錦織健、栗林義信といった日本を代表する声楽家たちとの共演であった。この「椿姫」の成功で、オペラの素晴らしさを体験すること が出来た静フィルは、次なるオペラ公演の開催を目指し、幸いにも3年後の1995年TCCで、プッチーニの「蝶々夫人」に挑戦する機会が得られた。蝶々夫人 役の塩田美奈子さんほか一流の声楽家たちとの再共演は、三枝成彰音楽監督の解説も加わって、素晴らしい舞台を作り上げることが出来た。
 この後も、1997年TCCではビゼーの「カルメン」を、更に2000年TCCではプッチーニの「ラ・ボエーム」と、オペラの名作の数々に挑戦する機会に恵ま れ、静フィルとしても貴重な体験を積み重ねることが出来たのである。
 こうした経験は、1996年の静岡県オペラ協会30周年記念公演における「椿姫」公演に、また、1998年の静岡市民オペラ「カルメン」公演に、更には静岡県 オペラ協会40周年記念公演・喜歌劇「こうもり」公演に大いに役立ったことは言うまでもない。地方の音楽団体の力でオペラ公演の開催が実現できることは、 それ自身素晴らしいことであり、市民にとってもオペラがより身近なものになっていくことは確かである。
 TCCはオペラ公演だけでなく、アマチュアオーケストラの演奏活動全体を支援の対象としており、地方の音楽文化の普及向上に果たしてきた役割の大きさ は、計り知れないものがあると言えよう。